簡易点字認識システムの開発


 点字は重度視覚障害者の間で広く使用されていますが、晴眼者で点字に精通する者は少なくコミュニケーション上の問題となっています。また点字は指先で触れて読むために、使用によって磨耗するため、その電子的な情報化や複製法の確立が望まれています。ここでは市販のスキャナー(Hewlett-Packard Scanjet 3c)によって点字の凸点を斜めから照明するときにできる陰影像(図1を参照)をパーソナルコンピュータ(Macintosh)で解析して、点字として認識し、電子情報に変換する方法について研究しています。
 本研究では市販のハードウエアのみを使用しています。障害者用機器は一般の製品と比較して、そのユーザー数が少ないために新規にハードウエアを開発したり、改造を行うと実用機を開発するためにコスト高となり、研究成果の移転が困難になる場合が多いからです。
 点字は紙の上に凸点として表されているので、陰影の位置から点のおおよその位置がわかります。しかし凸点は規則正しく並んでいるわけではなく、印字時の位置の誤差が有ったり、点の形が触読によって変形します。ここでは点字陰影を2値化した後に、点の位置と形状を統計的に解析して、1文字内の点の間隔と各点字の間隔(図2のd1、d2、d3)を推定しています。その後に点字1文字の領域(マス)を確定し、点字として認識します。これによって点字陰影像から点字コードに変換したり、カナ文字に変換したり、また音声合成により読み上げることが可能となります。現在、このシステムでは点字プリンターや点字タイプライターで印字された点字文書をほとんど間違い無く読むことができます。
 しかし点字盤で手打ちで印字したものは点の形や位置のばらつきが大きく読めないものも有ります。また点字の点は紙に作られた凸点のために繰り返し読むことによって磨耗してしまいます。このような場合には操作者はマウスによってディスプレイを見ながら修正します。現在、このような対話式手動修正操作を省くために処理方法の改良を行っています。


参考文献

宮崎康博、内野琢也、久米祐一郎、津田元久:対話型簡易点字−墨字変換システムの開発、第21回感覚代行シンポジウム発表論文集、83-86、1995.

久米祐一郎:手動処理を併用した対話式点字認識システム、医用電子と生体工学、35巻、2号、171-174、1997.


戻る